「大垣落語の会」は1990年後期の大垣市教育委員会主催の成人学校「落語やろう」講座の修了生が「このまま解散では寂しい」とOB会を結成したのが始まり。02年4月に正式にスタート。現在の会員は県職員や警察官、教師、会社員、主婦ら約20人。毎月2回例会を開き研鑽している。春と秋の年2回、会員が自慢の落語を公の場で披露する「すいと寄席」(今年は3月13日と10月16日)を開く一方、夏にはプロの落語家を招いた「落語を聴く会」(同8月21日)を開催している。会員たちは、依頼を受けて福祉施設や老人会、学校などを訪れてお年寄りや子どもたちに笑いを提供するほか、落語の面白さを教えている。和田さんも「宇留生寄席」や地元の集まりなどで時間をつくって高座に上がっている。
和田さんの高座名は「一服亭善快」。落語を聴くことが好きだった和田さんが2001年に同会に入会した際に、会員たちが「医療に思いやりと患者との良好な人間関係が求められる昨今。処方せんに笑いを一服盛り込み、病んだ人への癒しや全快への手助けになって欲しい」との思いを込めて名付けた。仕事が終わった後などに時間を見つけてはCDを聴く一方、CDから文字を起こして古典落語を仕込んでいるという和田さん。好きな落語は、大好きな落語家、故・十代目金原亭馬生が演じる「うどん屋」や「目黒のサンマ」「そば清」などとか。この日の「宇留生寄席」で和田さんが演じたのは、浅草雷門近くの長屋に住むそそっかしい兄弟同然に仲の良い男たちが登場する「粗忽長屋」。兄貴分の男が、行き倒れの遺体を弟分と間違えたことから始まる演目だ。落語が始まると、客席からは笑いのうず。和田さんは「落語は『間』が命と言われている。間とは言い換えれば呼吸。演者それぞれのテンポ、リズム、調子、抑揚、場面や人物の心理などによって微妙に変化する。大変なことだが極めていきたい。そのために時間を見つけて稽古をしていきたい」と意欲十分だ。
交友関係が広い和田さん。落語のほか陶芸や写真でも活動している。陶芸は岐阜県立大垣北高校時代の同級生で瑞穂市在住の陶芸家から指導を受けている。2010年からは同級生を中心に結成した「陶喰(とうく)会」の仲間たちと約1年半ごとに作品展を開いている。今年も自由な発想で作ったオブジェや日常食器などの作品展を5月27〜29日に大垣市船町の「奥の細道むすびの地記念館」で開く。写真は大垣市医師会や市民病院の医師や事務局員らで「光遊同好会」を2002年に結成。会員たちは長野県や滋賀県、三重県などに車を走らせて「自然の美しさと偉大さ」をカメラに収めている。今年の作品展は6月10〜12日に大垣市室本町の市スイトピアセンター・文化会館で開く予定。
2016.04.01(子林 光和)