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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

深まり行く秋 柿の木の思い出

 今年も早、十一月になりました。
 庭の柿の木は、昨年は酷暑のせいで実が枯れたまま枝に残っていましたが、今年は例年になくたわわに稔っています。朝早くからひよどりが仲間を呼んでいる声が聞こえてきます。「私の分も少しは残しておいてね。」と鵯に呼びかけてみるのですが、彼らに私の思いなど届きそうになく、仲間が次々に飛び来て、枝を飛び交っています。こんな光景も秋の風情として楽しんではいるものの、さてさて、私の口には・・・?と思ったりします。
 ところで、先日、某小学校を訪ねました。中休みになり、支援学級に在籍する子ども達が校庭を案内してくれるというので、一緒に外に出ました。遊具の紹介をしてくれたり、ジャングルジムの一番上まで上がって私に上るよう勧めてくれたり、菜園のオクラが大きく固くなっているのを一緒に確かめたり、「ここは、一、二年が集まる所だよ。」と背の低い鉄棒や砂場を案内してくれたり、不意の来客である私に、精一杯のおもてなしをしてくれました。
子どもたちは足が速いので私は、つい「待って、待って。」と言うのですが、そうすると足を止めて待っていてくれる優しい子ども達でした。
校庭の隅には、何本かの樹がありました。その中の一本は、枝があちこち切りとられていて、「ほら、登ってみてよ」と誘いかけてくれているようでした。今の子ども達には木登りなど許されないのでしょうが、おそらく昔の子ども達は、この樹に登って遊んだのではないかと想像したのでした。そして遠い昔の楽しかった木登りを思い出しました。「どんなに太くても柿の木だけは登っては駄目だよ。」と諭されたものでした。柿の枝はもろく、どんなに太そうに見えても折れやすいのだと教えられたのでしたが、今の子ども達はもちろん、若い先生方もご存知ないことでしょう。いや、木登りの経験すらない方がほとんどなのでしょう。校庭の樹に「淋しいよね・・・。」と心の中で呼びかけたことでした。
 その時、ちょうど始業のチャイムが鳴り、子ども達に「早く早く!」と急かされて教室に戻ったのでしたが、子ども達からも樹々からもエネルギーを一杯もらった一日でした。有難う。


2025.11.10 発行



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