
今年5月に広島県で開催された「平成24酒造年度全国新酒鑑評会」(独立行政法人酒類総合研究所、日本酒造組合中央会主催)では、同社が出品した大吟醸酒の「道三吟雪花」が「味と香りがよく、バランスのとれた酒」と評価され、見事に金賞を射止めた。

蔵元の長男として生まれ、子供のころから「跡を継ぐように」と育てられていたこともあり、大学を卒業と同時に同社に入社。日本酒離れが叫ばれる中、観光地の名前やNHKの大河ドラマに合わせた商品を次々と開発し、自社ブランドづくりに取り組んできた。その中で誕生したのが純米にごり酒「白川郷」や「道三吟雪花」など。特に「白川郷」は当時の白川村長から父親である6代目社長が「どぶろく祭の土産用に売れる酒を造ってもらえないか」との依頼を受けて1976年に完成させ、販売を始めた。「観光客に喜ばれる商品を」のコンセプトで造られた酒は、発売当初から大変な人気を得て、今では、同社の主力商品に。国内だけでなく、アメリカやカナダ、オーストラリアなど世界各地で多くの人に愛飲されている。三輪さんは「白川村は大垣市から150kmも離れ、当時は交通事情も悪く片道4時間半もかかり、いろいろと苦労も多かったが、まさかここまで売れるとは思っていなかった。多くの人に支えられたお蔭。営業部長に就任し、長女が誕生した年に新発売されただけに生涯忘れられない」と当時を振り返る。

社長業を婿養子の研二さん(41)に譲った三輪さん。「これまでに何度も蔵元を辞めなければと思った事もあったが、やってきて良かった。ご来店頂いたり、インターネットを通して注文していただくお客さんも増えた。これからも若い社長を助けながら、まちづくりや業界のために努力していきたい」。地域貢献にも意欲的だ。
2013.08.01(子林 光和)